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2018年3月17日

平昌2018パラ(9日目):クロスカントリースキー

新田佳浩が8年ぶり金奪還。「諦めなかった」

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2大会ぶりに金メダルを獲得した新田佳浩

平昌パラリンピック大会は9日目となる17日、クロスカントリースキーの男女ミドル・クラシカルが行われ、日本から男女8選手が出場。1998年長野大会以来、6大会連続出場で、男子立位のエース、新田佳浩(37=日立ソリューションズ)が2位と約9秒差の24分06秒8で金メダルに輝いた。14日に行われたスプリントの銀メダルにつづき、今大会自身2個目のメダル。また、日本チームにとっては3個目の金、通算9個目のメダルだった。

新田は2010年バンクーバー大会で同じミドル・クラシカルなどで2冠を果たすも、つづく14年ソチ大会では最高4位に終わる。引退も頭をよぎったが、「金奪還」の覚悟を胸にこの4年、過酷なトレーニングで自身をいじめ抜き、再び、世界のトップに返り咲いた。

「嬉しい。家族、コーチ、スタッフ、所属先・・・・・・多くの人の支えがあった。自分は幸せ者だと思えて、苦しい時も諦めちゃいけないという気持ちでレースに臨みました」

まさに、「諦めない気持ち」がカギだった。

男子立位(10km)は起伏のある1周約3.5kmのコースを3周するレース。新田は勢いよくスタートするも、直線の出口でつまずき、転倒。ヒヤリとしたが、すぐ立ち上がり、「まだ10kmある」と気持ちを切り替え、得意の上りでリズムを取り戻す。

この日の戦略は、スタートから飛ばして粘る従来のスタイルでなく、終盤で失速しないようペース維持を重視した新たなチャレンジだった。そのため、新田の30秒前にスタートし、力強い滑りでトップをひた走るグレゴリー・ボウチンスキー(ウクライナ)と、あとからスタートしたイルカ・トゥオミスト(フィンランド)にもかわされ、2周目の時点では3位だった。

だが、焦ることなく、「チャンスは必ずくる」と淡々と歩を進めた。両方のスキーを平行に動かすクラシカル走法では、新田のフォームは「世界最高」との定評がある。その美しいフォームでリズムを刻み続けると、まず、トゥオミストをとらえ、3周目に入ってすぐの上り坂で、コース脇に立つコーチから、「トップと12秒差に詰まった」と情報が入る。
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得意の登りを軽快に駆け上がる新田佳浩

「こんなところで負けちゃいけない。そのために苦しいトレーニングしてきたんだ。とにかく我慢だ」

4年間、時には逃げ出したくなるような苦しい練習で培った強い体が、諦めない気持ちを再び奮い立たせた。序盤のオーバーペースがたたり疲れの見えたボウチンスキーに対し、新田の走りは終盤でも衰えるどころか、力を増し、ボウチンスキーを逆転。残り1.5km地点でコーチから、「2秒先行」という情報が入る。

「腕がちぎれても、脚がちぎれても、心臓が壊れても、力を出し切らないと後悔する。自分の力を出し切ることが一番大事。最後まで諦めずに滑れば、結果はあとでついてくる。」

その信念の通り、必死の走りでゴールした先には美しく輝くメダルが待っていた。

なお、ノルディックスキーは明日、最終日の18日に混合リレー、オープンリレーを残すが、個人種目はこの日が最後。新田のほかに、出場した7選手もそれぞれの決意を胸に精一杯の走りを披露し、また次なる挑戦へのスタートを切った。

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金メダルを掲げる笑顔の新田佳浩

【日本選手結果一覧(9日目)】

■立位(男子10km)
1位 新田 佳浩 (LW8/37/日立ソリューションズ) 24分06秒8
10位 川除大輝 (LW5/7/17/富山県立雄山高等学校) 25分49秒9
11位 佐藤 圭一 (LW8/38/エイベックス株式会社) 25分53秒3  
18位 岩本 啓吾 (LW3/22/東京美装興業株式会社) 28分13秒4

■視覚障がい(男子10km)
11位  高村 和人(B1/35/岩手県立盛岡視覚支援学校) (ガイド:藤田 佑平) 28分38秒2

■座位(女子5.0km)
21位 新田 のんの (LW10.5/21/北翔大学スキー部) 22分42秒3

■立位(女子7.5km)
12位 出来島 桃子 (LW6/43/新発田市役所) 24 分57秒6
13位 阿部 友里香 (LW6/22/日立ソリューションズ) 25分01秒7

(文:星野恭子、写真・竹内圭)
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