Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア
2025年11月15日

2025 IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップス

車いすバスケ男子日本代表、強敵イランを撃破!前回大会の雪辱を果たし、世界への切符を獲得!

26点12アシストのダブルダブルでチームを牽引した鳥海連志 | 車いすバスケ男子日本代表、強敵イランを撃破!前回大会の雪辱を果たし、世界への切符を獲得!|2025 IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップス | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

26点12アシストのダブルダブルでチームを牽引した鳥海連志

11月7日に開幕した「2025 IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップス(AOC)」は、大会8日目の14日には準決勝が行われ、男子日本代表はイランと対戦。日本は最大の武器とするコンタクトの強いディフェンスで流れを引き寄せると、オフェンスでは鳥海連志(2.5)と香西宏昭(3.5)がそれぞれ磨いてきたシュート力を遺憾なく発揮。髙柗義伸(4.0)もインサイドから高確率に決める安定感を見せるなどした日本は、粘るイランを退け、65-55で勝利。2011年のAOC以来となる決勝進出とともに、来年の世界選手権出場権を獲得した。

イランの心身を削り続けたディフェンスの勝利

それは前回大会のリベンジ、そして男子日本代表の世界戦復帰を告げる勝利でもあったーー。

2024年1月、同じAOC準決勝で日本はイランと対戦し、48-63で敗れてパリパラリンピックへの道が断たれた。東京2020パラリンピックで銀メダルを獲得した日本が、史上初めてパラリンピックの出場を逃すという屈辱を味わった瞬間だった。

それ以来、選手たちは自分を見つめ直し、車いすバスケットボールと向き合う時間を経て、続投が決まった京谷和幸ヘッドコーチ(HC)の下に再び集結。ロサンゼルスパラリンピックでのメダル獲得という目標を掲げ、強化を図ってきた。その成果が、今大会では問われていた。

「40分間、魄繋(はっけい)でいこう!」
試合前の円陣で、キャプテン川原凜(1.5)はそう言って、チームメイトを鼓舞した。“魄繋"とは困難な状況にも全員で立ち向かい、みんなで40分間つなげていく、という意味の造語で、男子日本代表のスローガンだ。そして試合はまさに“魄繋"が必要とされる展開となった。

まず先に試合の主導権を握ったのは、日本だった。高さで上回るイランをゴールから遠ざけようと、日本はフロントコートからプレッシャーをかける攻めのディフェンスでいきなりイランのターンオーバーを誘うと、鳥海連志(2.5)がファーストショットのミドルシュートを決めて先制。さらに香西宏昭(3.5)、髙柗義伸(4.0)と続き、3連続得点でリードした。その後も3人が代わる代わる得点を挙げ、19-9とダブルスコアに。インサイドからの得点を許さない強固な守備も光り、出だしは日本が優位に試合を進めた。

香西宏昭が23得点。勝負どころでの“頼れる一撃”が光った。 | 車いすバスケ男子日本代表、強敵イランを撃破!前回大会の雪辱を果たし、世界への切符を獲得!|2025 IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップス | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

香西宏昭が23得点。勝負どころでの“頼れる一撃"が光った。

しかし、2Qでは最大の得点源でビッグマンのモハメドハッサン・サヤリ(4.0)がインサイドから締め出されたなかでアウトサイドからミドルシュートを決め始めたイランは、少しずつペイントエリアへの侵入も増え、得点を積み重ねていった。日本も鳥海が高確率にミドルシュートを決め、2Qだけで10得点。その結果、32-28とリードを守ったまま、試合を折り返した。そして3Qは14-14と両チームともに一歩も譲らず、日本が4点リードのまま、4Qへと突入した。

序盤、立て続けに得点を挙げた日本が、一時は9点差としたものの、中盤にイランが3連続得点。その後は1ポゼッション差での攻防が続いたものの、メンタル面では両チームには大きな差が生まれていた。高い集中力を保ちながらコンタクトの強いディフェンスを徹底してやり続ける日本に対し、イランは苛立ちを隠せず、ファウルが混むなどしてミスが目立つようになっていった。

それが勝敗を分けた要因の一つとなった。確実にシュートを決める日本に対し、イランは4分間もの間、得点できずに苦しんだ。一方、日本は最後まで油断することなく戦い続けた。相手のファウルゲームにも付き合うことなく、鳥海が4本すべてのフリースローを決め、突き放す形で勝利を収めた。

前回大会の悔しさを糧に遂げた成長

まさに強いコンタクトで相手の体力もメンタルも疲弊させるディフェンスの勝利。チームにとっては想定通りの展開だったと香西は語る。

「早々と諦めムードだった予選リーグの時のような試合にはならないということは選手間でも話をしていて、その通り、厳しい試合になりました。ただ、僕たちがずっとトレーニングで培ってきたアジリティやスピードに対して、数日でイランが対応できるはずがないという自信が僕たちにはありました。実際、フラストレーションがたまってファウルが多かったイランに対し、自分たちのディフェンスは最後までよく動いていてすごく良かった。それが勝利につながったのだと思います」

この試合、トップスコアラーに輝いたのは、鳥海で26得点。アシストも12を数えた鳥海は、ダブルダブルを達成した。次いで香西が23得点。その香西と同じくフィールドゴール成功率62%を誇った髙柗は11得点を挙げた。髙柗もまた、1年半前の悔しさを力に変え、成長した一人だ。

確実に得点を積み重ね、守備でも存在感を発揮した髙柗義伸 | 車いすバスケ男子日本代表、強敵イランを撃破!前回大会の雪辱を果たし、世界への切符を獲得!|2025 IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップス | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

確実に得点を積み重ね、守備でも存在感を発揮した髙柗義伸

「前回のAOCではいいディフェンスをしてもオフェンスではシュートが入らないということがあって、僕に足りないものは圧倒的にシュート力だと痛感しました。だからこの1年半は、とにかく毎日シュート練習に時間を費やした。その結果、安定感というのはついたかなと思っています」

また、得点では目立たなかったものの、赤石竜我(2.5)と川原はディフェンスで大きく貢献。赤石は鳥海とともに40分間フル出場し、イランの攻撃の芽を摘んだ。そして常にビッグマンにミスマッチを狙われた川原のチームへの貢献ぶりも大きかった。

2011年のAOC以来、7大会ぶりに決勝に進出する日本は、大会最終日の15日にはオーストラリアと対戦する。今大会は予選リーグ初戦で57-72で敗れている。最大のポイントは、U23から上がってきた20歳のジェイレン・ブラウン(4.0)だと京谷HCは語る。

「彼はインサイドというよりもカットインプレーが得意なので、そこをどれだけおさえられるかがカギを握るかなと思っています。オーストラリアの試合は動画などで分析しているので、どう抑えるか、しっかりと準備して臨みたいと思います」

そして、こう続けた。

「世界選手権の出場権を獲得できたのは、本当に良かったと思っています。ただ、それは最低限で、我々の目標はあくまでもアジアオセアニアチャンピオン。それを狙えるだけの力をつけてきているので、明日は全員で戦って優勝を勝ち取りたいと思います」

現役選手では、まだ一人も到達したことがないアジアオセアニアの頂に立ち、世界に日本の復活を知らしめる。

(文・斎藤寿子/撮影・竹内圭)

【車いすバスケットボール】
 一般のバスケットボールとほぼ同じルールで行われる。ただし「ダブルドリブル」はなく、2プッシュ(車いすを漕ぐこと)につき1回ドリブルをすればOK。
選手には障がいの程度に応じて持ち点があり、障がいが重い方から1.0~4.5までの8クラスに分けられている。コート上の5人の持ち点の合計は14点以内に編成しなければならない。主に1.0、1.5、2.0の選手を「ローポインター」、2.5、3.0、3.5を「ミドルポインター」、4.0、4.5を「ハイポインター」と呼ぶ。
コートの広さやゴールの高さ、3Pやフリースローの距離は一般のバスケと同じ。障がいが軽いハイポインターでも車いすのシートから臀部を離すことは許されず、座ったままの状態で一般のバスケと同じ高さ・距離でシュートを決めるのは至難の業だ。また、車いすを漕ぎながら、ドリブルをすることも容易ではなく、選手たちは日々のトレーニングによって高度な技術を習得している。
ジャンプはないが、ハイポインターが車いすの片輪を上げて高さを出す「ティルティング」という技がある。ゴール下の激しい攻防戦の中、ティルティングでシュートをねじ込むシーンは車いすバスケならではの見どころの一つだ。
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