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2026年10月20日

愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会

岩渕と舟山が初のアジア大会金メダリストに

決勝で会心のストレート勝ちを収め、成長と復活を証明する金メダルに輝いた岩渕幸洋 | 岩渕と舟山が初のアジア大会金メダリストに|愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

決勝で会心のストレート勝ちを収め、成長と復活を証明する金メダルに輝いた岩渕幸洋

10月20日に行われた男子シングルスの「クラス9」では岩渕幸洋(ベリサーブ)が、「クラス10」では舟山真弘(早稲田大学)が金メダルを獲得。ともにアジア大会では初の金メダリストになった。「立位7」では八木克勝(電通デジタル)が連覇に挑んだが、決勝で敗れ、地元での金には届かなった。

臥薪嘗胆を経て復活したエース

パラ卓球界のエース・岩渕の目には涙が浮かんでいた。過去3度のアジアパラでは手にできなかった金メダル。こみ上げてくるものがあったのだろう。決勝は第3ゲームこそ接戦になったが、3-0のストレート勝ちで頂点をつかんだ。

東京2020パラの開会式では旗手を務めた「パラの顔」も、その後の杭州2022アジアパラや、パリ2024パラでは思うような結果が残せなかった。若手の台頭もあり、この間は岩渕にとって「雌伏(しふく)の時」になった。

ただ、その時間は「臥薪嘗胆の時」でもあった。パリパラが終わると、岩渕はすぐにバックハンドのラバーを変えた。「パリまでの2年間使っていたラバーは、自分から攻撃をしやすいものではなかったからです。扱いの難しさもありました」。

岩渕は攻めに向くラバーにしたことで、少しずつ本来の攻撃的なスタイルを取り戻すとともに「攻めのメンタル」も培っていった。

ラバーに合わせて、体の動きは、より股関節を意識するようになった。「球のピッチも速くなったので。ヒザから上の動きや、フットワークを活かしながら動いて勝つ、そういうイメージを持ちながら、練習に取り組んでいます」

東京パラ後、結果が出ない時期を経て、頂点を狙った大会で成果を出せた。アジアパラを含むアジア大会では自身初の金メダル。岩渕は胸を張ってこう言った。

「最後の試合(決勝)では自己ベストに近いプレーができた。成長ができた経験を自信にして、今後につなげたいです」
相手の反撃を退けて頂点に立ち、膝をついて全身で優勝の歓喜を爆発させる岩渕幸洋 | 岩渕と舟山が初のアジア大会金メダリストに|愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

相手の反撃を退けて頂点に立ち、膝をついて全身で優勝の歓喜を爆発させる岩渕幸洋

大病も精神的な成長の糧に

舟山にとっては総合大会初の金メダルとなった。輝く勲章を首から下げた舟山の目にも光るものがあった。

「ツアーのメダルと違って、本当に大きくて、重いな、と。物理的にもそうですし、自分の人生で1度あるかないかの日本開催での金なので。気持ちとしても、杭州大会の銀メダルとはまた違った重みがあります」

栄冠の裏には精神的な成長もあった。それは失敗から学んだものだという。

「いろいろな試合を重ねていくなかで、パニックになって自分を見失ってしまうことがけっこうありました。ただ、そういう経験を重ねていくことで、どういう時にパニックになるのか、少しずつ分かってきて。それによって自分のことも(客観的に)理解できるようになってきたんです」

決勝では2ゲームを連取し、第3ゲームも10-8と、「アジア王者」まであと1ポイントに迫ったが、そこからデュースに持ち込まれた。だが舟山は自分を見失うことなく、最後まで冷静に攻め続け、13-11で第3ゲームを制した。

大病を経験したことも精神的な成長を促した。舟山は今年1月に腎臓がんが見つかり、2月に手術をした。

「まさかもう1度、自分ががんになるとは思ってもいなかったんですが(舟山は幼少期に骨肉腫になっている)、目標としていた金メダルを獲得できたのは、本当にあの経験があったから。精神的にも成長できたし、自分の人生観にも大きな影響を与える出来事でした」

現在は早稲田大学に在学する4年生。大学卒業後は企業に所属しながら、卓球で生きていくと決めている。まずは来月に行われる世界選手権で存在感を示し、2年後のロス2028パラでの金メダルを目指す。
変則的なサーブにも崩れず、相手のバック攻撃を鋭いストレートで畳み掛けた舟山真弘 | 岩渕と舟山が初のアジア大会金メダリストに|愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

変則的なサーブにも崩れず、相手のバック攻撃を鋭いストレートで畳み掛けた舟山真弘

「う~~~ん、勝ちたかったですね」

八木は開口一番、「う~ん」を伸ばして、全身からにじみ出ていた悔しさを伝えた。杭州大会の覇者は連覇を狙ったが、東京パラ、パリパラと2大会連続金メダルの閻碩(中国)の牙城を崩せず、1-3で敗れた。八木は豊橋市の出身。地元・愛知での連覇はかなわなかった。

だが、すぐに納得の表情に変わると、涙ながらにこう語った。

「まずはメダル取れたことにホッとしてますね。はい。もちろん金を取れれば最高だったんですけども、この場所でね、スタッフも知り合いばっかりだから、上(スタンド)を見れば知り合いがいるし、知らない人にも応援してもらって、すごく幸せだったなと。そんな大会でしたし、シングルスの試合でした」

男子シングルスの表彰式で一番大きな歓声を受けていたのも八木なら、一番大きな動作で両手を振って応えていたのも八木だった。

もちろん、ゲームカウント1-3で敗れた決勝には悔いがある。「3ゲーム目、フォルトを取られたあたりから、上手く切り替えができなくなった。リセットできていれば、展開も変わっていたと思うんですが…」

それでも、自分が持っているものは全て出し尽くした。八木は涙を飲み込みながら、言った。

「もう技術もやる気ももう限界で、なんとかなんとか、だましだましやってきましたけど、最後は気合いだけでここまで来て…惜しかったですね」

それでも、両腕の肘から先が生まれつき短く、体も小さい八木が懸命に大きな相手にも食らいつくその姿は、見ている者たちの心にしっかりと刻まれたに違いない。
地元愛知の温かい声援に背中を押され、体格で上回る相手にも引かずに気迫の打球を見せる八木克勝 | 岩渕と舟山が初のアジア大会金メダリストに|愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

地元愛知の温かい声援に背中を押され、体格で上回る相手にも引かずに気迫の打球を見せる八木克勝

【パラ卓球】
カテゴリーは「車いす」「立位」[峯1.1]「知的障がい」があり、「個人戦」(シングルス)と「団体戦」(ダブルス1試合、シングルス2試合)があり、試合は1ゲーム11点先取で、3ゲームを先に取った方が勝ちとなる。いずれも男女別に行われるが、「車いす」と「立位」は、障がいの種類や程度によってさらにクラス分けされ、順位を争う。
卓球台のサイズやネットの高さ、ボールやラケットなどの用具は、一般の卓球と同じ。ルールもほとんど変わらない。ただし、車いす選手のサービスは、相手コートで一度バウンドし、エンドラインを越えない場合は「レット(ノーカウント)」となり、やり直しとなる。また、車いすのダブルスでは、センターラインを超えて移動することはできないため、レシーバーがサービスをリターンした後は、どちらの選手が打ってもOK。
 障がいの種類や程度によって、プレースタイルはさまざま。たとえば車いすの選手は、左右に素早く動くことが難しいため、卓球台の近くでプレーすることが多い。そのため、近距離でのスピーディなラリーが展開される。また、世界には足でトスを上げ、ラケットを口でくわえて打つ、両腕欠損の選手もいる。
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