
地元・愛知の観客の前で、力強いショットを打ち込む小田凱人
10月23日(大会6日目)、愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会の車いすテニスは、名古屋市東山公園テニスセンターで各種目の決勝が行われ、日本は金2、銀1、銅1のメダルを獲得した。男子シングルスは小田凱人が決勝で中国の選手に6-2、6-2で勝ち、前日の男子ダブルスに続く2冠を達成。この優勝で、2028年ロサンゼルスパラリンピックの出場も決めた。地元・愛知の観客の前で「愛知で金メダルを取ることができて、最高です」と喜び、試合後には涙も見せた。病気でサッカーができなくなり、車いすテニスを始めて10年。「悩んでいる子どもたちも、自分次第で変えられると思います。僕は今日それが証明できました」と語った。
クアードシングルスは宇佐美慧がタイの選手を6-4、6-4で破り、前日のクアードダブルスとあわせて単複2冠を達成した。両セットとも追う展開から、相手のコースや球筋を読んで挽回。クアードの魅力を「派手なプレーでも泥臭いプレーでも1ポイントは1ポイント。先読みしたり裏を突いたり、将棋のようにじわりじわりと相手を崩していくところ」と話し、「この数年、これだけを考えてやってきた。最高です」と喜んだ。
女子ダブルスは上地結衣/大谷桃子が決勝で中国ペアに5-7、3-6で敗れ、銀メダル。3位決定戦では髙室冴綺/田中愛美が韓国ペアに6-1、6-2で勝ち、銅メダルを手にした。男子シングルス3位決定戦の荒井大輔は、中国の選手に2-6、6-1、5-7で競り負け、4位だった。

2連覇を果たし、金メダルを手に笑顔を見せる車いすバスケットボール男子日本代表
車いすバスケットボールは、愛知国際アリーナで男子決勝が行われ、日本がイランを55-47で破り、前回の杭州大会に続く2連覇を果たした。
日本は第1クォーター、17本のシュートのうち3本しか決められず、7-12とリードを許す苦しい立ち上がりとなった。だが第2クォーターはスティール6本などでイランのミスを誘い、このクォーターを13-4として逆転。20-16で前半を折り返した。31-28と競り合ったまま迎えた第4クォーターは24-19と突き放し、優勝を決めた。髙柗義伸(4.0*)が16得点16リバウンド、鳥海連志(2.5)が13得点13リバウンド8アシストを記録。古澤拓也(3.0)と赤石竜我(2.5)もそれぞれ10得点を挙げた。
京谷和幸ヘッドコーチは「シュートがリングに嫌われる苦しい展開だったが、40分間ディフェンスをやり続けられたことが勝利につながった」と振り返った。世界選手権から5人が入れ替わったメンバーでつかんだ金メダルだった。
初めての国際大会だった髙柗は「チーム全員で勝ち取ったメダル。重みを感じている」と語った。赤石は「前回の金メダル以上に、自分たちが中心となってつかみ取った実感がある」と話す一方、「世界で見ればまだまだ弱い。パリの悔しさを胸に、2年後のロサンゼルスに向けてステップアップしたい」と先を見据えた。

決勝でシャトルの行方を目で追う梶原大暉。両腕がつりながらも勝ち切り、「気持ちだけは強く保った」と勝利への執念を語った
パラバドミントンは、一宮市総合体育館でシングルスの決勝3試合が行われ、梶原大暉、里見紗李奈、河合紫乃がそろって金メダルを獲得した。
男子シングルスWH2の梶原は、21-10、18-21、24-22で競り勝ち、前人未到の200連勝を達成した。ファイナルゲームの終盤は両腕がつり、ラケットが手から離れなくなるほどだった。「コーチの声かけと会場の声援のおかげで何とか勝ち切れた」と振り返り、「ここがゴールではない」と連勝を伸ばす考えを示した。
女子シングルスWH1の里見は、こちらもフルゲームの末、21-16、18-21、21-11で勝利。腕のしんどさとプレッシャーを抱えながら、ファイナルゲームは相手の動きを見極めて突き放した。自国開催での金メダルが「日本チームの強さを知ってもらうきっかけになれば」と話した。
女子シングルスSL3の河合は、21-11、21-15で下し、初出場で初優勝を果たした。練習してきたカットスマッシュが何本も決まり、「我慢勝負で自分のペースを守れた」と手応えを口にした。SL3を引っ張る存在として、挑戦者の気持ちで進化し続けたいと語った。
パラ陸上競技は名古屋市瑞穂公園陸上競技場で行われた。日本勢からは2つのアジア新記録が生まれた。女子砲丸投(F20)では堀玲那が13m57をマークし、自身のアジア記録を76cm更新して金メダル。男子1500m(T38)では加藤穂岳が4分12秒70のアジア新記録で頂点に立った。また、男子200m(T51/T52)の伊藤智也、女子1500m(T20)の澤田陽南、女子走幅跳(T20)の川口梨央がそれぞれ大会新記録で優勝。日本勢はこの日11種目で金6、銀5、銅5の計16個のメダルを獲得し、女子1500m(T20)と嶋津雄大が制した男子5000m(T12/T13)では表彰台を独占した。
ゴールボール男子は、豊橋市総合体育館で決勝が行われ、日本は中国に5-3で勝って金メダルを獲得した。前半を2-3とリードされたが、後半は無失点に抑えて3点を奪い逆転。金子和也が3得点、宮食行次が2得点を挙げた。金子は「ようやく悲願のアジアパラの金メダル取れたので、これを弾みに次はロスを目指して頑張っていきたいと思います」と話した。
パラ水泳は、名古屋市総合体育館(レインボープール)で最終日を迎え、日本は金7、銀3、銅4のメダルを獲得した。男子100m自由形(S11)では、富田宇宙が大会新記録の58秒22で優勝。前半から先行し、最後の約20mは息継ぎをせずに泳ぎ切って中国の選手に0秒48差で競り勝った。「自分の中の全ての力を出し切れた」と話した。このほか、女子200m個人メドレー(SM13)の辻内彩野、女子200m個人メドレー(SM14)の木下あいら、男子200m個人メドレー(SM14)の山口尚秀、男子100mバタフライ(S12)の齋藤元希、男子100mバタフライ(S11)の木村敬一、男子100m自由形(S4)の鈴木孝幸が金メダルを獲得した。
ブラインドフットボールは、名古屋市鶴舞公園多目的グラウンド(テラスポ鶴舞)で男子決勝が行われ、日本は中国に0-1で敗れ、銀メダルとなった。負傷した平林太一を欠く中、予選初戦でも敗れた中国に立ち向かったが、後半に左サイドを破られて失点。最後までゴールを奪えなかった。主将の川村怜は「アジア選手権の決勝で負けてしまって、そこから半年間、このアジアパラの決勝で中国にリベンジするという目標を掲げて取り組んできた。成果を感じられた時間帯も多かったなかで、後半失点してしまって本当に悔しい気持ちです」と話した。
平林に代わって攻撃の中心を担った林健太は「悔しいの一言に尽きます」と振り返り、「アジアパラという大きな大会に参加するのは初めてで、出場時間もすごくいただいて、個人的にすごく成長できた大会になった。この成長を生かして、必ずロスの切符を掴んで、金メダルを獲得したい」と前を向いた。
中川英治監督は「相手の強いプレッシャーに対してのクオリティ。トレーニングの強度をもう1段ギアを上げてやっていかないと、点は取れない」と課題を挙げた。一方で、応援に訪れた観客や大会関係者に向けて「本当に夢のような期間だった」と感謝を口にした。
車いすラグビーはウイングアリーナ刈谷で決勝が行われ、日本は韓国に50-53で敗れて銀メダルとなった。第1ピリオドを13-14で終えた日本は、第2ピリオドに橋本勝也(3.5)を中心に得点を重ね、26-26で前半を折り返した。第3ピリオドは草場龍治(1.5)の速攻などで一時同点に追いついたが、38-40とリードを許す展開となった。第4ピリオドは4点差を追い、残り34秒に西村柚菜(2.5)がトライを返したが、最後は3点及ばなかった。
ゴールボール女子は、豊橋市総合体育館で決勝が行われ、日本は中国に0-2で敗れて銀メダルとなった。前半終盤には髙橋利恵子が相手のペナルティスローを止めたが、得点を奪えなかった。髙橋は「金メダルを目指してやってきたところで、銀メダルっていうところはちょっと悔しい気持ちです」と話し、無観客だった東京パラリンピックと違い、多くの声援が力になったと振り返った。
このほか、パラ自転車競技(ロード)はサイクルスポーツセンター5キロサーキットで行われ、男子ロードレース(C1-3)で川本翔大が金メダル、女子ロードレース(C1-3)で杉浦佳子が銀メダル、女子ロードレース(C4-5)で小釜莉代が銅メダルを獲得した。
パラ卓球はスカイホール豊田で行われ、男子ダブルス(MD18)で阿部隼万/岩渕幸洋が金メダル、男子ダブルス(MD8)で北川雄一朗/七野一輝が銀メダル、女子ダブルス(WD20)で三浦稟々/友野有理が銅メダルを獲得した。座位バレーボールは岡崎市中央総合公園総合体育館で行われ、女子で日本が銅メダルを獲得した。
(*=障害による持ち点)
(文・湯谷夏子/山本素暖/玉城萌華/鈴木奈緒/島袋豪、撮影・菅澤一生/村上智彦/中島功仁郎/竹内圭/佐渡本実穂)
<日本人結果一覧(大会6日目)>
【パラ陸上競技】
女子走幅跳 T11 決勝: 第6位 白濱顕子 4m22
男子200m T51/T52 決勝: 金メダル 伊藤智也 32秒07
女子1500m T20 決勝
金メダル 澤田陽南 4分41秒03
銀メダル 岡野華子 4分43秒53
銅メダル 藤原由奈 4分59秒56
男子1500m T38 決勝
金メダル 加藤穂岳 4分12秒70
第4位 井草貴文 4分27秒07
女子800m T33/T34 決勝: 銅メダル 吉田彩乃 2分09秒94
女子400m T13 決勝: 銀メダル 佐々木真菜 1分00秒27
女子走幅跳 T12 決勝: 第4位 澤田優蘭 5m03
女子5000m T54 決勝: 第4位 仲嶺翼 11分52秒99
男子100m T71/T72 決勝: 第7位 坂本渉 19秒63
男子5000m T12/T13 決勝
金メダル 嶋津雄大 14分13秒95
銀メダル 堀越信司 15分12秒99
銅メダル 熊谷豊 15分14秒16
女子砲丸投 F20 決勝: 金メダル 堀玲那 13m57
男子400m T13 決勝: 銀メダル 福永凌太 予選:48秒81 決勝:47秒98
女子800m T54 決勝: 第4位 仲嶺翼 1分54秒91
女子走幅跳 T20 決勝
金メダル 川口梨央 5m36
第4位 酒井園実 5m03
男子1500m T20 決勝
銀メダル 戸田夏輝 3分51秒11
銅メダル 岩田悠希 3分56秒70
第4位 十川裕次 4分09秒05
男子100m T63 決勝: 銅メダル 近藤元 13秒32
【パラバドミントン】
男子シングルス WH2 決勝: ○梶原大暉 2 – 1 YU Sooyoung●
女子シングルス WH1 決勝: ○里見紗李奈 2 – 1 YIN Menglu●
女子シングルス SL3 決勝: ○河合紫乃 2 – 0 XIAO Zuxian●
【ブラインドフットボール】
男子 決勝: ●日本 0 – 1 中国○
【ゴールボール】
男子 決勝: ○日本 5 – 3 中国●
女子 決勝: ●日本 0 – 2 中国○
【座位バレーボール】
女子 3位決定戦: ○日本 3 – 0 タイ●
【パラ水泳】
女子100m自由形 S9 決勝
銅メダル 福田果音 1分07秒65
第5位 前田惠麻 1分10秒09
第6位 都甲万結 1分11秒32
男子100m自由形 S9 決勝
銀メダル 川渕大耀 57秒00
第5位 岡島貫太 58秒82
男子400m自由形 S6 決勝: 銅メダル 山田龍芽 5分28秒04
男子50m背泳ぎ S5 決勝: 第4位 田中映伍 35秒53
女子200m個人メドレー SM13 決勝
金メダル 辻内彩野 2分40秒74
第4位 笠本明里 2分57秒38
男子200m個人メドレー SM13 決勝: 銅メダル 齋藤元希 2分21秒43
女子100m背泳ぎ S9 決勝
銅メダル 都甲万結 1分19秒93
第4位 宇津木美都 1分20秒05
第6位 前田惠麻 1分23秒90
男子100m背泳ぎ S9 決勝
第4位 川渕大耀 1分09秒99
第5位 岡島貫太 1分10秒17
男子100m自由形 S11 決勝: 金メダル 富田宇宙 58秒22
女子200m個人メドレー SM14 決勝
金メダル 木下あいら 2分25秒68
第4位 芹澤美希香 2分36秒09
第5位 佐藤璃來 2分36秒33
男子200m個人メドレー SM14 決勝
金メダル 山口尚秀 2分11秒47
銀メダル 坪井夢輝 2分15秒20
第5位 村上舜也 2分17秒53
男子100mバタフライ S12 決勝: 金メダル 齋藤元希 1分01秒17
男子100mバタフライ S11 決勝: 金メダル 木村敬一 1分01秒62
男子100m自由形 S4 決勝: 金メダル 鈴木孝幸 1分24秒27
混合4×100m自由形 34ポイント 決勝: 銀メダル 日本 4分25秒96
【車いすバスケットボール】
男子 決勝: ○日本 55 – 47 イラン●
【車いすラグビー】
決勝: ●日本 50 – 53 韓国○
【車いすテニス】
男子シングルス 決勝: ○小田凱人 2 – 0 JI Zhenxu●
クアードシングルス 決勝: ○宇佐美慧 2 – 0 JAIYEN Booncherd●
女子ダブルス 決勝: ●上地結衣/大谷桃子 0 – 2 LI Xiaohui/WANG Ziying○
女子ダブルス 3位決定戦: ○髙室冴綺/田中愛美 2 – 0 HAN In Kyung/PARK Ju-youn●
男子シングルス 3位決定戦: ●荒井大輔 1 – 2 DONG Shunjiang○
【パラ自転車競技 – ロード】
男子ロードレース C1-3 決勝
金メダル 川本翔大 1:19:54
女子ロードレース C1-3 決勝
銀メダル 杉浦佳子 1:21:31
女子ロードレース C4-5 決勝
銅メダル 小釜莉代 1:38:13
男子ロードレース B 決勝
第5位 木村和平/三浦 生誠 -2LAP
第6位 山路喬哉/稲毛健太 -2LAP
男子ロードレース C4-5 決勝
第5位 亀田琉斗 1:51:11
【ボッチャ】
混合団体 BC1/BC2 予選プールA
●日本 1 – 21 インドネシア○
混合ペア BC3 予選プールB
○日本 7 – 2 韓国●
混合ペア BC3 準決勝
○日本 6 – 1 香港●
【パラパワーリフティング】
男子団体
第1試技 西崎哲男(49Kg級) 130Kg ◯成功
第2試技 佐藤和人(107Kg級) 175Kg ◯成功
第3試技 田中翔悟(88Kg級) 150Kg ◯成功
トータル 311.89ポイント
予選第5位 455、決勝ラウンド進出なし
【パラ卓球】
男子ダブルス MD18 決勝
金メダル 阿部隼万/岩渕幸洋
○阿部隼万/岩渕幸洋 3 – 2 LIAN Hao/ZHAO Shuai●
男子ダブルス MD8 決勝
銀メダル 北川雄一朗/七野一輝
●北川雄一朗/七野一輝 2 – 3 PENG Zhengyang/FENG Panfeng○
女子ダブルス WD20 準決勝
銅メダル 三浦稟々/友野有理
●三浦稟々/友野有理 0 – 3 TIAN Shiau-wen/LIN Tzu-yu○
男子ダブルス MD18 準決勝
○阿部隼万/岩渕幸洋 3 – 2 EREKEYEV Talgat/SURTUBAYEV Marat●
男子ダブルス MD8 準決勝
○北川雄一朗/七野一輝 3 – 0 ASTAN Adyos/GUNAYA Yayang●
女子ダブルス WD22 グループA
○和田なつき/山口美也 不戦勝 DEEKAM Phimolphan/WANGPRACHUM Pronwimol●
【パラフェンシング】
男子サーブル個人 カテゴリーA
準々決勝敗退 加納慎太郎
予選プール 4勝1敗
ラウンド16 ○加納慎太郎 15 – 6 SODIKOV Muhammadrizo●
準々決勝 ●加納慎太郎 1 – 15 LI Hao○
ラウンド16敗退 安直樹
予選プール 2勝2敗
ラウンド16 ●安直樹 13 – 15 KWONG Yuen Hing○
ラウンド32敗退 中川清治
予選プール 1勝4敗
ラウンド32 ●中川清治 13 – 15 KADHIM Mustafa○
男子サーブル個人 カテゴリーB
ラウンド16敗退 角田成
予選プール 3勝3敗
ラウンド16 ●角田成 9 – 15 RYU Eunhwan○
ラウンド16敗退 笹島貴明
予選プール 0勝5敗
ラウンド16 ●笹島貴明 6 – 15 ZHANG Jie○
女子サーブル個人 カテゴリーA
ラウンド16敗退 松本美恵子
予選プール 2勝2敗
ラウンド16 ●松本美恵子 3 – 15 KWON Hyokyeong○
予選プール敗退 吉澤周子
予選プール 0勝5敗
予選プール敗退 木村美貴
予選プール 0勝4敗
女子サーブル個人 カテゴリーB
ラウンド16敗退 阿部知里
予選プール 1勝4敗
ラウンド16 ●阿部知里 6 – 15 JO Yejin○