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2018年3月16日

平昌2018パラ(8日目):パラスノーボード

成田緑夢"リスキーな挑戦"で手にした金メダル

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金メダルを獲得した成田緑夢

平昌パラリンピック大会8日目の16日、今大会から正式種目となったパラスノーボードの2種目目バンクドスラロームが行われ、成田緑夢(24=近畿医療専門学校)がLL2(ひざ下の下肢障がい)で金メダルをに輝いた。

前日から寒気が戻り、夜には小雪が舞う中、この日の気温は久々に氷点下。コース上の雪面は硬いアイスバーンとなっていた。

そんな中で行われたレースで、第1滑走者となった成田は、いきなり1回目で50秒17という好タイムを叩き出し、トップに躍り出た。さらに2回目には49秒61を出し、後続のライバルたちにプレッシャーをかける。だが、ライバルたちもまた、1回目を上回る好タイムで成田に迫ってきていた。

2回目を終えた時点で、2位との差は0.4秒。3位とは0.44秒。この僅差に、成田はこんな予測をたてていた。

「今回はほかのクラスを見ていても、ほとんどの選手が回を追うごとにどんどんタイムが伸びていたんです。だから3本目で巻き返される可能性があるなと。もし僕が3本目に失敗したら、表彰台に乗れなくなると思いました」

そこで、成田は勝つために"リスキーな戦略"を立てた。
「5つ目のバンクは、一つだけリズムが違っていて、すごく難しかったんです。そのバンクを、2回目の滑走までは乗るようにしていたのですが、3回目は上から下にバンッと落とすようなラインで滑ることにしました」
それは、実戦ではもちろん、トレーニングでも一度もやったことのなかった"挑戦"だった。

「もちろん、リスクはありましたし、成功するという保証もなかった。でも、今大会の目標は挑戦なので、それにワクワクドキドキしながら滑りました」

世界最高峰の舞台、しかも金メダルがかかったレースで「ドキドキワクワク」という言葉が出てくるところに、成田というアスリートの強心臓ぶりが窺い知れる。
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48秒68のタイムを記録した成田緑夢の3本目

その結果、成田は2回目のタイムを1秒近くも上回る48.68秒の好タイムを叩き出すことに成功した。そして彼の読み通り、後続のライバルたちも次々とタイムを伸ばしてきた。しかし、4年前のソチパラリンピックで初代王者となったエヴァン・ストロング(米国)も、今大会1種目目のスノーボードクロスで金メダルに輝いたマッティ・スールハマリ(フィンランド)も、"49秒の壁"を破ることはできず、成田は唯一の48秒台でトップの座を死守。リスクをいとわず、挑戦し続けた末に、ついに世界の頂点に立った成田は「最高の気分。アスリート成田緑夢をほめたいと思います」と喜びを口にした。
メダルセレモニーで満面の笑みを見せる成田緑夢 | 成田緑夢”リスキーな挑戦”で手にした金メダル|平昌2018パラ(8日目):パラスノーボード | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

メダルセレモニーで満面の笑みを見せる成田緑夢

一方、LL1(ヒザから上の下肢障がい)に出場した小栗大地(37=三進化学工業)は、「まったくいいところがなかった」としながらも、最後の3回目で1回目を1秒以上回る58秒47をマークし、6位入賞を果たした。
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6位入賞の小栗大地

同じLL1の山本篤(35=新日本住設)は、1回目は最後の旗門を通過することができず、さらに2回目は途中でコースアウト。3回目は棄権となり、この種目では一度もフィニッシュできずに終わった。

【日本人結果一覧(8日目)】
■LL1(男子)
6位 小栗大地(37/三進化学工業) 58秒47
―  山本篤(35/新日本住設) 失格

■LL2(男子)
1位 成田緑夢(24/近畿医療専門学校) 48秒68

(文・斎藤寿子、写真・竹内圭)

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