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2018年3月12日

平昌2018パラ(4日目):パラスノーボード

成田緑夢「挑戦」でつかんだ銅メダル

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3位決定戦に勝利し、歓喜の声を上げる成田緑夢

平昌パラリンピック大会4日目の12日、今大会から正式種目となったパラスノーボードの1種目目スノーボードクロスが行われ、成田緑夢(24=近畿医療専門学校)がLL2(ひざ下の下肢障がい)で銅メダルを獲得。レース後、「完璧なメダル」だったと、さわやかな笑顔を見せた。

「シンプルに嬉しいです!」
銅メダル獲得について、記者からの質問に、成田はそう答えた。世界の強豪が勢ぞろいする中で準決勝まで勝ち上がり、そして銅メダルを獲得したことは、初出場の成田にとって喜びでしかなかった。

成田はこの日、予選から好調だった。いきなり1本目で58秒21の好タイムをマークしてトップに躍り出ると、予選通過を見越し、2本目を棄権。結局、そのままトップの位置をキープし、決勝トーナメント進出を決めた。

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予選ではトップのタイムをマークした成田緑夢

午後に始まった決勝トーナメントでも、その実力を惜しみなく出し、1回戦、準々決勝と順当に勝ち進み、準決勝へと駒を進めた。準決勝も、スタートでリードを奪ったのは、成田だった。しかし、途中のバンクでのヒールターンで転倒。対戦相手に後方から追いつかれ、そのまま抜き去られた。

それでも成田は落胆することはなかったという。
「転倒したからといって、レース自体が終わったわけではない。終わるまでレースに集中していました」
それが、次のレースに生かされた。

3位決定戦の相手は、エヴァン・ストロング(米国)。単独ではなくアルペンスキーの1種目として実施された2014年ソチパラリンピックで金メダルに輝いた強豪で、成田とともに優勝候補の一人に挙げられていた。

そのストロングとのレースで、成田はある目標を掲げていた。それは、過去に一度もやったことがなかった新たな挑戦だった。
「雪の状態が荒れていると思ったので、いつものようにスタート前にアウトライン、ミドルラインというふうに決めずに、すべての状況を踏まえたうえで、選択しながら滑る。それが自分自身に課したミッションでした」

レースは、スタートから大接戦となった。成田がわずかにリードしていたものの、すぐ後ろにストロングが来ていた。ところが、インコースから追い抜きを図ろうとしたストロングが誤ってコースアウトをしてしまう。これで決着がついた。そのまま成田がトップでフィニッシュし、銅メダルを獲得。清々しい笑顔でスタンドの観客に手を振る成田の姿が、その喜びを実によく表していた。

ベスト8入りを果たした小栗大地(写真右) | 成田緑夢「挑戦」でつかんだ銅メダル|平昌2018パラ(4日目):パラスノーボード | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

ベスト8入りを果たした小栗大地(写真右)

一方、LL1(ヒザから上の下肢障がい)には小栗大地(37=三進化学工業)と山本篤(35=新日本住設)が出場。それぞれ予選を、小栗は7位、山本は12位で決勝トーナメントへ。山本は1回戦で敗れたものの、小栗は準々決勝に進出。その準々決勝では「一番のライバル」と語っていたクリス・ボス(オランダ)と対戦。リードを許したものの、ピタリと後ろにつき、終始相手にプレッシャーをかけた。しかし、それにも崩れなかったボスがそのまま先頭でゴール。小栗は惜しくも準決勝進出には至らなかった。

夏は北京から3大会連続で出場し、2016年リオ大会では走り幅跳びで銀メダルを獲得している山本は「初めてのパラリンピックという感じで、北京の時のことを思い出した」という。前日の記者会見では「ライバルは自分自身」と答えていたことに対し、「しっかりと自分の滑りできたという点では(自分に)勝てたかなと思う。ただ、まだまだうまく滑れるという手応えもあった」と語った。

一方、小栗は決勝トーナメント1回戦で不運に見舞われた。この日、何度かあったスタートゲートが開かないというトラブルが、小栗のレースでも発生。相手がスタートできず、小栗だけが滑走するかたちとなった。レースは一時中断となり、小栗は40分以上も待たされた。結局、スタートゲートは直らず、ゴム状のひもを張り、スタートと同時に離すというアナログな方法でレースは続行。長時間待たされた小栗は「その後、体が動かなかった」と影響があったことを明かした。それでも「気持ちはリラックスして待てた」とメンタル面の強さを垣間見せた。

14日には、各選手が一人ずつ3本滑り、そのうちのベストタイムで順位を決めるバンクドスラロームが行われる。3人ともに、さらなる高みを目指す。

【日本人結果一覧(4日目)】
■LL1(男子)
7位 小栗大地(37/三進化学工業)
12位 山本篤(35/新日本住設)

■LL2(男子)
3位 成田緑夢(24/近畿医療専門学校)
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