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2023年2月12日

2023国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会

日本がオーストラリアを破り3位

オールスター5に選出された柳本あまね | 日本がオーストラリアを破り3位|2023国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

オールスター5に選出された柳本あまね

2月10日から12日までの3日間、「2023国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会」が丸善インテックアリーナ大阪(大阪市)で開催された。同大会としては3年ぶりに海外勢を迎えて行われ、東京パラリンピックで金メダルを獲得したオランダ、昨年のアメリカ選手権チャンピオンのカナダ、アジア・オセアニア地域のライバルであるオーストラリア、そして日本の4カ国が出場した。日本は全チーム総当たりの予選ラウンドを1勝2敗で終え、最終日に行われた3位決定戦ではオーストラリアに勝利し、3位で大会を締めくくった。

世界にも負けない高さを見せた最年少の江口侑里 | 日本がオーストラリアを破り3位|2023国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

世界にも負けない高さを見せた最年少の江口侑里

世界の強豪に挑んだ予選ラウンドでの戦い

4年に一度の世界選手権を4カ月後に控え、いずれも世界選手権に出場する4チームはベストメンバーで今大会に臨んだ。
日本の初戦は、オランダとの一戦。オランダは、ヨーロッパ選手権、世界選手権、そしてパラリンピックのタイトルを持つ「世界一」のチームで、今大会登録の12名中11名が東京パラリンピック金メダルメンバーだ。オランダは、立ち上がりからマリシュカ・ペイエル、ボー・クラマーの両エースが得点を重ね、相手の激しいプレッシャーから連係ミスが続き、思うようなプレーができない日本をどんどんと引き離す。第1クォーターを4-24で終えると、日本はメンバー交代をして流れを変えようとするも、オランダが主導権を握り続け、26-80で試合終了。女王の貫録を見せた。くしくも前回・東京パラリンピック準々決勝で対戦した時と同じような結果(24-82)に終わり、チーム最長のプレータイムで戦った網本麻里は、「オランダはスキルもパワーもスピードも上のチーム。自分たちがどこで戦えるのかもっともっとアピールして、日本らしいバスケを出していかなければいけない。ただ、世界一のチームに対して自分たちがやってきたオフェンスがいくつか成功したという部分は自信に変えたい」と前を向いた。

大会2日目の第1試合、オーストラリア戦では、「これで戦っていくんだ」という、日本のやりたいバスケが明確に示された試合となった。序盤はシーソーゲームの展開になったが、そこからギアを上げた日本はオールコートのマンツーマンディフェンスで相手を押さえ込み、次々と8秒バイオレーションを取る。さらに、得点力を期待されコートに送り出されたチーム最年少の江口侑里は、世界にも劣らない高さでリバウンドを奪い、右手ワンハンドでボールをキャッチすると手首のスナップをきかせシュート、渾身のゴールを決めてみせた。日本は33-27のリードで試合を折り返すと、後半も強いコンタクトとしぶといディフェンスで相手の体力とメンタルを削り、62-55で勝利。昨年5月に決勝で敗れた「アジア・オセアニアチャンピオンシップス」のリベンジを果たした。

第2試合では、東京パラリンピックの5・6位決定戦で対戦したカナダとの一戦に臨んだ。キャプテン、シンディー・オウレのスピードを活かした速い展開でゲームを進めるカナダは、カディー・ダンデノーがパワフルなショットを次々と沈め、じりじりとリードを広げていく。25-39で迎えた後半、キャプテンの北田千尋と網本、そして柳本あまねに副キャプテンのローポインター・萩野真世が積極的に3ポイントシュートを放ち、最後までゴールに向かう姿勢を貫く。しかし、日本はなかなか得点に結びつけることができず、44-73で試合を終えた。

プレーでチームの士気を上げたキャプテンの北田千尋 | 日本がオーストラリアを破り3位|2023国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

プレーでチームの士気を上げたキャプテンの北田千尋

個性を活かし得点力で勝負できるチームに

東京パラリンピック以降、新たに岩野博ヘッドコーチ(HC)を迎え新体制となった女子日本代表。今大会の登録メンバー12名中、東京パラリンピック出場組は7名で、これまでの「走るバスケ」、攻守の切り替えの速い「トランジションバスケ」に加え、「得点力で勝負していける」チーム作りに取り組んでいる。具体的には、1クォーター20点以上で80得点60失点を数値目標として掲げており、3ポイントシュートのアテンドと確率のアップ、そしてローポインターも積極的にゴールを狙うことを目指す。

そして特に印象的なのが、個性豊かなミドルポインターがそろっていることだ。今大会には5名のミドルポインターが出場し、スピードの大津美穂に、インサイドとアウトサイドの両方のシュートが打てる清水千浪、スピードと判断力に加え「強気なところはチーム一番」と岩野HCが太鼓判を押す立岡ほたる、走力を活かしたアグレッシブなオフェンスとディフェンスを持ち味とし現在は「ガード」のポジションに取り組んでいる柳本あまね。江口侑里は、左半身に麻痺があり左手にプロテクターを付けてプレーするが、小学生の頃から培ったバスケットボールのセンスを生かして一気に頭角を現し、2019年にはU-25日本代表として「女子U25車いすバスケットボール世界選手権大会」に出場した。「目で確認しないと左手がどういう動きをしているのかわからない」と話し、座面の高い車いすに乗って細かい車いす操作をするのは容易ではないが、「人の倍、右手を使っているので、人の倍、右手の練習はできている」とポジティブに捉える。今大会では、背の高い海外勢からリバウンドを奪い取り、ワンハンドのシュートを決めきったことが「自信になった」と目を輝かせた。

3位決定戦の勝利で掴んだ確かな手応え

そうして、12の個性の集大成として臨んだ、オーストラリアとの3位決定戦。
前日の対戦より何段階もギアを上げてきたオーストラリアが、絶対的エースのアンバー・メリットを中心に得点を重ねる。第1クォーターを12-18で終え、日本が追いかける展開となったが、相手のパスコースに果敢に飛び込みスティールを奪った柳本がチームに勢いをもたらす。自ら3ポイントシュートや2連続得点を決め、前半を終え27-27の同点へと持ち込んだ。後半に入っても日本の勢いは衰えることなく、さらに硬いディフェンスでオーストラリアの足を完全に止めて見せた。最終クォーターでは、オーストラリアをわずか4得点に抑え、対する日本は26点を挙げ一気に引き離し、65-40で試合終了。充実感とともに大会を締めくくった。

岩野HCは今大会での戦いを振り返り、「テーマに掲げていた厳しいディフェンスがようやく最後の順位決定戦でできて良かった。マンツーマンで相手の体力を削り後半に勝負ができるようになり、オフェンスではタフショットを避けスペースを使ったシュートを打てるようになったのが収穫。チームとしてやることが明確になった」と手応えを口にしたうえで、パリパラリンピックの出場枠にも影響する世界選手権に向けては、「最低でもベスト4が目標」と力強く明言した。

また、キャプテンの北田は、「日本にはスター選手がいない。その中で世界と戦うには、一人ひとりのクオリティーを上げていくしかない。全員でつないで全員で120%出した時にやっと1勝が手に入る、それぐらい苦しい戦いをずっとしていかなければいけない。コートに出た時にどれだけ自分に与えられた仕事ができるのか、それぞれが自分の仕事にプライドを持ってやりきることが重要」と、世界選手権、さらにはその先のパラリンピックへの覚悟を語った。

なお、3位決定戦に先立ち行われたオランダとカナダの決勝戦は、オランダが67-47で勝利し全勝優勝を果たした。全試合で相手を20点以上も上回る圧倒的な強さを見せたオランダ。決勝を終え、ヘルトヤン・ファン・デル・リンデンHCは、自らを「倒すべきチーム(Team to Beat)」と表現し、世界王者のプライドをのぞかせた。

それぞれの強みと個性を結集し、チーム一丸となって世界に立ち向かう車いすバスケットボール女子日本代表。2014年のカナダ大会以来2大会ぶりの出場となる世界選手権に向け、成長あるのみだ。

(文・張 理恵)

■結果一覧
<最終順位>
優勝 オランダ
2位 カナダ
3位 日本
4位 オーストラリア

<試合結果>
2月10日(金)
日本 ●26-80◯ オランダ
カナダ ◯72-45● オーストラリア
2月11日(土)
日本 ◯62-55● オーストラリア
オランダ ◯87-32● カナダ
日本 ●44-73◯ カナダ
オランダ ◯72-46● オーストラリア
2月12日(日)
【決勝戦】
オランダ ◯67-47● カナダ
【3位決定戦】
日本 ◯65-40● オーストラリア

<MVP>
ボー・クラマー(オランダ)

<オールスター5>
サラ・ヴィンチ(オーストラリア)
イルゼ・アーツ(オランダ)
柳本 あまね(日本)
シンディー・オウレ(カナダ)
カディー・ダンデノー(カナダ)

<フレンドシップ賞>
ミシェル・スワイン(オーストラリアマネージャー)

【車いすバスケットボール】
 一般のバスケットボールとほぼ同じルールで行われる。ただし「ダブルドリブル」はなく、2プッシュ(車いすを漕ぐこと)につき1回ドリブルをすればOK。
選手には障がいの程度に応じて持ち点があり、障がいが重い方から1.0~4.5までの8クラスに分けられている。コート上の5人の持ち点の合計は14点以内に編成しなければならない。主に1.0、1.5、2.0の選手を「ローポインター」、2.5、3.0、3.5を「ミドルポインター」、4.0、4.5を「ハイポインター」と呼ぶ。
コートの広さやゴールの高さ、3Pやフリースローの距離は一般のバスケと同じ。障がいが軽いハイポインターでも車いすのシートから臀部を離すことは許されず、座ったままの状態で一般のバスケと同じ高さ・距離でシュートを決めるのは至難の業だ。また、車いすを漕ぎながら、ドリブルをすることも容易ではなく、選手たちは日々のトレーニングによって高度な技術を習得している。
ジャンプはないが、ハイポインターが車いすの片輪を上げて高さを出す「ティルティング」という技がある。ゴール下の激しい攻防戦の中、ティルティングでシュートをねじ込むシーンは車いすバスケならではの見どころの一つだ。
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