Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア
2025年5月6日

第22回日本デフ陸上競技選手権大会【2日目】

デフリンピック金メダリスト山田真樹が本命の200mで死闘を制し、3大会連続出場へ!

男子200m決勝、デッドヒートのレースを制して頂点に立った山田真樹(中央) | デフリンピック金メダリスト山田真樹が本命の200mで死闘を制し、3大会連続出場へ!|第22回日本デフ陸上競技選手権大会【2日目】 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

男子200m決勝、デッドヒートのレースを制して頂点に立った山田真樹(中央)


5月5、6日、熊谷総合スポーツ文化公園陸上競技場では、今年11月に開催される「東京2025デフリンピック」の最終選考会を兼ねて「第22回日本デフ陸上競技選手権大会」が開催。4年に一度の大舞台への切符をかけた最後の戦いが繰り広げられた。

男子十種競技・岡部祐介は4種目で自己新!18歳・生井澤彩瑛は100m、200mで二冠を達成!


この日一番のデッドヒートのレースとなったのが、男子200m。午前の予選を1位通過した日本記録保持者・山田真樹が、午後の決勝ではファイナリスト8人全員が22秒台という接戦を制して優勝。3大会連続となるデフリンピック出場を確実にした。ゴールした瞬間、思わずあげた雄たけびは、雨天の中を応援に駆け付け、プレッシャーに打ち勝たせてくれた方々への勝利の報告だった。前日の大会初日には、もう一つの日本記録を持つ400mに臨んだが、午前の予選では組1位で通過したものの、全体3位。自らを「スロースターター」と語る山田は、午後の決勝でも調子が上がらず、昨年マークした日本新の47秒82に遠く及ばない50秒44で3位。優勝した山本剛士には2秒以上の差をつけられての完敗を喫した。「エンターテインメントとして応援に来たのに、結果がこれかよと思わせたくなかった」という山田は、焦らずにじっくりと一つ一つ課題を見直し、この日のレースに臨んだ。さらに午前の予選のレース後には、自らスタンドに行き、観客の人たちに挨拶をしてまわった。「応援してくれる方々と直接触れったことがエネルギーとなり、午後の決勝での結果につながった」と感謝の言葉を口にした。初出場だったサムスン2017デフリンピックで200mと4×100mリレーで二冠に輝いた山田。しかし連覇を狙った前回のカシアス・ド・スル大会は新型コロナウイルスの影響でスタートラインにさえ立つことができなかった。3年前の雪辱を果たし、日本のファンの前で再び頂点に立つつもりだ。

雨に苦しみながらも渾身の跳躍。十種競技・棒高跳びで勝負をかけた岡部祐介 | デフリンピック金メダリスト山田真樹が本命の200mで死闘を制し、3大会連続出場へ!|第22回日本デフ陸上競技選手権大会【2日目】 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

雨に苦しみながらも渾身の跳躍。十種競技・棒高跳びで勝負をかけた岡部祐介


男子十種競技では岡部祐介が大会新記録となる5177点で優勝した。大会1日目には、100m、400m、走り幅跳び、さらに雨天での悪条件のなかで行われた2日目の110mハードルと、4種目で自己新をマーク。総合得点でも5120点から5177点とわずかながらも自己ベストを更新し、初出場を目指すデフリンピックに大きく前進した。ただ本来はデフリンピック出場を確実にするためにも、5500点を狙っていたと言い、特に雨天での棒高跳びに苦戦。それでも「いろいろと勉強になっていい経験になった」と前向きにとらえていた。もともとは400mでデフリンピックを目指していたが、前回のカシアス・ド・スル2022大会では代表選考で落選。一度は陸上を辞めようと思ったが、友人からの応援で再びデフリンピックを目指し始めた。さらに「自分の限界を超えるものに挑戦したい」と十種競技への転向を決意。以前に一度会う機会があったというロンドン、リオ五輪日本代表の右代啓祐選手にSNSで連絡をとり、練習拠点の国士舘大学に毎日通って一緒に練習をさせてもらうようになった。今大会でも右代選手の支えが大きかったと言い、「棒高跳びの時には、雨と風の方向が違うから距離を調整したほうがいいよ、とアドバイスしていただいたり、自分の様子を見てストレッチしてくださったりと、精神的にも心強かったです」と語った。その恩に応えるためにも、デフリンピックでは十種競技での日本人初のメダルを目指す。

男子400mハードル、雨を切り裂きトップでゴールした石本龍一朗 | デフリンピック金メダリスト山田真樹が本命の200mで死闘を制し、3大会連続出場へ!|第22回日本デフ陸上競技選手権大会【2日目】 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

男子400mハードル、雨を切り裂きトップでゴールした石本龍一朗


男子400mハードルでは、岡山大学3年の石本龍一朗が大会連覇を果たした。しかし「優勝は最低限の目標だった」と言い、「前回大会で自分が出した大会記録(56秒45)や日本記録(55秒99)を更新することを目標にしていた」と、56秒69というタイムに「まだ気持ちの整理がついていない」と悔しさをにじませた。一番の課題はメンタルだという石本。大会前の練習で行っていた300mハードルの平均タイムからすれば、400mハードルでは「55秒台はかたい」と踏んでいたという。しかし、雨天という悪条件ではあったことに加え、それ以上に「自分のメンタルの弱さが出た」と反省を口にした。自己ベストは高校3年の4月に記録した55秒96。その時の自分を3年間超えられていない。現在所属する岡山大陸上競技部の環境は「とても素晴らしく、いい練習ができているので常に成長を感じている」と石本。「あとはメンタルが課題」だと言い、プレッシャーの中でも実力を発揮できる強さを身につけ、今年11月、世界の舞台を駆け抜ける。

女子では、仙台大1年の生井澤彩瑛が前日の100mに続いて200mでも優勝し、初のデフリンピック出場に近づいた。仙台大への進学は、同大OBで現在は大学職員を務めながら東京デフリンピックで連覇を狙う男子100mの佐々木琢磨と同じ環境で練習をし、同じ先生に師事をあおぎたかったからだ。「自分も佐々木選手のように世界一になりたい」と生井澤。本来好きなのは100mだが、世界の頂点に近いのは200mの方だ。ただ世界との差は小さくはない。「さらに筋力をつけて、不足しているスピードを上げていきたい」と語る。生井澤の誕生日5月16日は、今年は東京デフリンピックの代表選考発表日の翌日となる。日本代表として最高の19歳の誕生日を迎えたい。

今大会が東京デフリンピックの最終選考となり、5月15日に日本代表内定選手が発表される。100周年の記念の年に日本で初開催されるデフリンピック。果たしてどの選手が大舞台への切符をつかむことができるのか、注目だ。

(文・斎藤 寿子/写真・湯谷 夏子)
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