2023パラクライミングジャパンシリーズ第1戦

日本のトップクライマーたちが魅せた圧巻の登り！〜2023パラクライミングジャパンシリーズ第1戦〜

10月28日〜29日、「2023パラクライミングジャパンシリーズ第1戦」がエフピコアリーナふくやま（広島県福山市）にて開催された。
パラクライミングは障害者が行うクライミング競技で、15メートルほどの高さの壁を登り、登ることができた高さを競う競技だ。

クラスは大きく「視覚障害」と「身体機能障害」の2つに分かれており、視覚障害クラスは光覚や視力、視野によってB1・B2・B3に分けられ、B1が最も障害の重いクラスとなっている。視覚障害クラスでは選手が、「サイトガイド」の地上からの声や指示を頼りに、ホールドの場所などを探りながら登っていく。

一方の身体機能障害クラスは、上肢機能障害（AU2・AU3クラス）、下肢機能障害（AL1・AL2クラス）、関節可動域および筋力とその他の機能障害（RP1・RP2・RP3クラス）に分かれており、数字の小さいクラス（AU2・AL1・RP1）が障害の程度が重いクラスとなる。

「パラクライミングジャパンシリーズ」は日本パラクライミング協会主催のもと年２回開催されている大会で、今大会は2023年度の第1戦目となる。

男子B1クラスでは、世界選手権で5度金メダルに輝いている會田祥（三井住友海上あいおい生命保険株式会社）が優勝。終始安定した登りを見せ、試合後にはゆとりのある中で登れたと語った。
サイトガイドの田中星司は會田の強みについて、「壁の中に長くいられる時間が他の選手よりも圧倒的に長い」ところだと話す。今大会でもその強みを存分に発揮し、圧巻のクライミングで会場を魅了した。


男子AL2クラスで優勝したのは結城周平（コモタ株式会社）。結城は左脚に義足を装着せず、片脚を使って登るダイナミックな登りが特徴。予選は高度が大きく厳しい中だったが、完登し決勝へ進出。決勝では完登には至らなかったものの力強い登りで優勝を果たした。
今大会を振り返って、「決勝では不甲斐ない登りをしてしまった」と悔しさを滲ませたが、2024年3月の代表選考を兼ねたジャパンシリーズ第2戦では「結果を残せるように頑張りたい」と代表残留に向けて意気込みを語った。

パラクライミングは2028年ロサンゼルス・パラリンピックで追加競技として検討されている。2023年12月に最終決定されるが、採用されればパラリンピックでは初の実施となる。
日本パラクライミング協会代表理事の小林幸一郎氏は、大会後の挨拶で、パラリンピック種目となればパラクライミングの発展につながっていくだろうと期待感を示した。また同時に、国内の競技人口がまだまだ少ないという背景から、競技普及と競技力向上への課題を語った。
ロサンゼルス・パラリンピックで正式種目となれば、選手の新たな目標となり、競技普及に繋がるだろう。

（文・撮影／湯谷夏子、鈴木奈緒）

【優勝者一覧】
平井 亮太（AL1男子）
結城 周平（AL2男子）
會田 祥（B1男子）
濵ノ上 文哉（B2男子）
蓑和田 一洋（B3男子）
岡田 卓也（RP1男子）
Kumar Manikandan（RP2男子）
山下 和彦（RP3男子）
青木 宏美（B2女子）
前岡 ミカ（B3女子）
二橋 真音衣（RP2女子）