後半、カナダからボールを奪い、レイアップシュートを決める古澤拓也。
6月14日(現地時間)、2017IWBF男子U23世界車椅子バスケットボール選手権大会(カナダ・トロント)、日本は準々決勝で地元カナダを58-45で破り、準決勝進出を決めた。現在、日本のエースとして活躍する藤本怜央、香西宏昭らを率いて準優勝した2005年以来、3大会ぶりのメダル獲得に、また一歩近づいた。
「昨日のオフには、京谷(和幸)さんからチーム全員でステーキをごちそうになりました。リフレッシュできたことで、気持ちよく試合に臨むことができました」とキャプテン古澤拓也。その古澤の鮮やかなスリーポイントから始まったこの試合、日本はオールコートでのプレスディフェンスでカナダの攻撃を抑え、幸先いいスタートを切った。
しかし、第1Qの中盤、日本のアウトサイドからのシュートがことごとくリングに嫌われ、一時はカナダに逆転される場面も。再びリードをしても、なかなかカナダを引き離すことができず、試合の流れを引き寄せきれずに前半を終えた。
だが、チームとしては悪い感触ではなかった。
「自分たちがやるべきディフェンスはできているのだから、あとはしっかりと丁寧にプレーをしていこう」
京谷HCのこの言葉に、選手たちは「ディフェンスで勝つ」というチームの目標を再認識し、後半に臨んだ。
シーソーゲームとなった第3Q、日本は38-32とリードを守り切った。そして迎えた第4Q、流れを引き寄せたのは、古澤だった。カナダが猛追し、42-40と2点差にまで迫られた中盤、インサイド勝負にいき、レイアップシュートを決めた。さらにバスケットカウントとすると、フリースローも見事に決めてみせた。
ローポインターとしての役割を果たし、攻守にわたり活躍する川原凛。
そして、この日第1Qでのスタート以来となるスリーポイントを古澤が決めると、ここから日本は、勢いを加速していく。川原凛、丸山弘毅がミドルシュートを決めれば、寺内一真はオフェンスリバウンドからのゴール下のシュートをねじこんでみせた。一方、ディフェンスでも最後までしっかりとプレスし、終盤はカナダの攻撃を完全に封じた。
「日本の武器であるディフェンスに必要なのは、闘争心。それを選手たちが40分間続けてくれたし、チームのスタッフたちが、選手たちの闘争心をかきたてるように、よく声をかけてくれていた。そのおかげだと思う」と京谷HC。チーム全員でつかんだ勝利だったことを明かした。
これで、準決勝進出を決めた日本。3大会ぶりのメダルまで、あと1勝だ。
(文・斎藤寿子、写真・岡川武和)