Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア
2023年12月18日

ドイツ ブンデスリーガ

藤本怜央、40歳ベテランに宿る矜持と挑戦心

高確率でシュートを炸裂し、今年最後の試合を締めくくった | 藤本怜央、40歳ベテランに宿る矜持と挑戦心|ドイツ ブンデスリーガ | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

高確率でシュートを炸裂し、今年最後の試合を締めくくった

パラリンピック2大会連続メダル獲得を目標に強化を進めている車いすバスケットボール男子日本代表。11月には、パリパラリンピック予選を兼ねて来年1月にタイ・バンコクで開催されるアジアオセアニアチャンピオンシップス(AOC)に臨む12人のメンバーが発表された。その一人、チーム最年長40歳となった現在も京谷和幸ヘッドコーチ(HC)から全幅の信頼を寄せられているのが、藤本怜央だ。今シーズンもドイツリーグでプレーする藤本に独占インタビューし、大一番を前にした今に迫る。

ディフェンスを軸とするチームの中でも藤本は高い評価を得ている

ライバルにも差をつけたランディルのディフェンス力 | 藤本怜央、40歳ベテランに宿る矜持と挑戦心|ドイツ ブンデスリーガ | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

ライバルにも差をつけたランディルのディフェンス力

2014-15シーズンからドイツリーグを拠点としている藤本。コロナ禍の20-21シーズンを除き、秋から春にかけて1年の大半を海外で過ごす生活は9シーズン目となり、日本人プレーヤーでは最長を誇る。

21-22シーズンには、長年在籍したBGハンブルクから、常に優勝争いをする強豪RSVランディルに移籍。当時所属していた同じ日本代表の香西宏昭(NO EXCUSE)とともに主力として活躍した。最後のプレーオフファイナルでは劇的な勝利の末に2人にとって初のリーグ優勝に輝いた瞬間は、日本のファンにとっても記憶に新しいことだろう。

今シーズンはそれ以来となる王座奪還に向けて、チームは勝利街道をまっしぐらだ。11月12日には今シーズン初となった最大のライバル、テューリンギア・ブルズ戦にも84-64で大勝するなどして開幕から9連勝を飾り、全勝でリーグ前半を終えた。後半の初戦となった12月17日のゲームも快勝したランディルは、現在首位を独走中だ。

強さの一つは、ディフェンスにある。現在9勝1敗でリーグ2位と今シーズンも優勝争いの様相を呈しているブルズとの試合でもディフェンスの安定感が光り、流れを引き寄せた最大のポイントと言っても良かった。その点について藤本に訊くと、納得の理由がそこにはあった。

「今シーズンのチームは、ディフェンスにフォーカスしているんです。練習の割合もディフェンスが多くを占めていて、ミーティングの内容もディフェンスのことばかり。海外の選手はオフェンスが好きな選手が多いので、最初はミーティングでもジャネット(HC)の指示を聞くだけで終わっていたのですが、最近では自分たちからディフェンスの話をするようになっています。テューリンゲンとの試合は、まさにその成果が出た試合でした」

もちろん、世界トップレベルのディフェンスを誇る日本代表で主力としてプレーする藤本は、ランディルにとっても欠かせない存在だ。HCからも高く評価を得ており、藤本も自信を持ってプレーしている。

新しいチャレンジの中で模索し続けた“何か"

チャンスメイクの役割も担い、チームへの貢献度は高い | 藤本怜央、40歳ベテランに宿る矜持と挑戦心|ドイツ ブンデスリーガ | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

チャンスメイクの役割も担い、チームへの貢献度は高い

一方、オフェンス面での藤本は、得点にフォーカスしていた昨シーズンまでとは違うプレースタイルのように映る。得点源の一人であることは間違いないが、チームにはシューターが多いからなのだろう、シーズン前半はどちらかというとチャンスメーカーという役割を意識しているようにも感じられた。

果たして、実際はどうなのだろうか。

「今シーズンは若い選手がアグレッシブなバスケットを展開するなかで、最年長の僕に求められているのは試合の途中で流れを変えること。そのためにジャネットからは『ローポインターの役割であるプレー以外はすべてやってほしい』と言われています。インサイドでのシュートはもちろん、ピックにいったり、ガード的な役割も含めて全部。そうした昨シーズンまでとは違う起用のされ方のなかで、いい緊張感を持ってやれています」

短いプレータイムのなかでアテンプトも決して多くはなく、これまでのように得点では目立ってはいないものの、確かにチームへの貢献度は決して小さくはない。秋田啓が所属するチームと対戦した12月10日の試合では、プレータイムは20分足らずだったが、チーム最多のアシスト6を誇った。オールラウンダーとしてのプレーを求められているのは、それだけ指揮官からの信頼が厚いという証でもある。ベンチに藤本がいてくれるのは、チームにとっては心強いはずだ。

ただ、気になることがあった。シュートの精度だ。11月には2試合連続でフィールドゴール成功率(FG)が20%。前半最終戦となった12月10日のゲームでも37%、2Pシュートに限っては29%に終わった。

果たして、藤本に何が起きているのかーー。

「海外選手は自分が得意とするプレーについては高いパフォーマンスを発揮しますが、それ以外の部分では粗いことも多い。そういうなかで幅広いプレーができるという点で、一つ大きな存在価値が僕にはあるんじゃないかと思っています。ただ引き続き得点力も求められながら、そのほかのプレーもというのは僕にとっては新しいチャレンジでもあって、その完成度はまだ高くはないなと感じています」

求められていることが多い分、プレー中に考えることが増え、それだけにシュートにフォーカスする時間は削られる。パスをさばくべきか、自分でシュートに打つべきかの判断のなかで、自然と周りを見る意識が強くなっているという。そのため、シュートを打つ時のタイミングに微妙なズレが生じているように感じている。

「コンディションも、体のフィーリングや指先の感覚など、シュートタッチも全く悪くなくて、練習ではシュートアベレージが一番いいんです。それでも試合で決められないのは、マインドの部分でしっくりきていないんだろうなと。何かピースが一つ足りないのだと思います。それが何なのかをずっと探している状態です」

AOC前の最後の実戦で取り戻した“らしさ"

指揮官からの信頼が厚い分、多彩なプレーが求められている | 藤本怜央、40歳ベテランに宿る矜持と挑戦心|ドイツ ブンデスリーガ | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

指揮官からの信頼が厚い分、多彩なプレーが求められている

ただ、それはつかみつつある。12月17日、ホームで行われた今年最後の試合で、藤本は15分にも満たないプレータイムながらチーム2番目に多い11得点をマーク。FG成功率も41%にまで上げてみせた。

この1週間前のインタビューで、藤本はこう語っていた

「もっと自分の感覚に任せてシュートを打って、自分らしさを出していきたいと思います」

それは最初のプレーに表れていた。一進一退の攻防が続き、チームがなかなか流れを引き寄せられずにいたなか、1Qの残り2分30秒、コートに立った藤本は、最初の攻撃でドリブルでペイントエリアに侵入すると、そのまま迷うことなくシュートを放った。それは一見、強引なプレーにも映った。結果的にも決めることはできなかったが、チームに勢いを与えるとともに、“自分で得点を取る"という気持ちのこもったプレーでもあったに違いない。

この試合、藤本のFGのアテンプトは12。そのうち3Pシュートを含む5本を決めた。特にアウトサイドに限っていえば、5本中3本、60%と高確率で決めており、少ないプレータイムでもしっかり爪痕を残した。AOC前の最後の実戦だっただけに、藤本にとっても大きかったに違いない。いい感触を得て大一番を迎えるはずだ。

ドイツリーグはクリスマス休暇に入った。藤本も近日中に帰国し、月末には日本代表に合流する。27日、千葉ポートアリーナで公開される予定の紅白戦にも出場する予定だ。日本のファンの前で代表としてプレーするのは昨年8月以来となり、藤本自身も楽しみにしている。

3大会ぶりにアジア王座を奪還した10月のアジアパラ競技大会は不在だったが、不安は微塵も感じていない。

「ディフェンスについてはやっぱり日本はレベルが高いなと思いました。イランも韓国も、日本のディフェンスにお手あげ状態だったと思います。ただ得点については40点台では世界には勝てない。やっぱり60点、70点にもっていかないといけないだろうと思います。若手のハイポインターもそれぞれの強みを見せていましたし、どんどんパフォーマンスが上がっているとは感じましたが、それでも安定感とか爆発力という点ではまだまだ自分が必要だなとも思いました。アジア王者としてAOCに臨めるのは、日本にとって追い風となることは間違いありません。そのうえで僕が入ってさらに強い日本をお見せできるように、しっかりと準備していきます」

心強いベテランが日本代表にカムバックする日は、もうすぐだ。

(文・斎藤寿子/竹内圭、鈴木奈緒)

【車いすバスケットボール】
 一般のバスケットボールとほぼ同じルールで行われる。ただし「ダブルドリブル」はなく、2プッシュ(車いすを漕ぐこと)につき1回ドリブルをすればOK。
選手には障がいの程度に応じて持ち点があり、障がいが重い方から1.0~4.5までの8クラスに分けられている。コート上の5人の持ち点の合計は14点以内に編成しなければならない。主に1.0、1.5、2.0の選手を「ローポインター」、2.5、3.0、3.5を「ミドルポインター」、4.0、4.5を「ハイポインター」と呼ぶ。
コートの広さやゴールの高さ、3Pやフリースローの距離は一般のバスケと同じ。障がいが軽いハイポインターでも車いすのシートから臀部を離すことは許されず、座ったままの状態で一般のバスケと同じ高さ・距離でシュートを決めるのは至難の業だ。また、車いすを漕ぎながら、ドリブルをすることも容易ではなく、選手たちは日々のトレーニングによって高度な技術を習得している。
ジャンプはないが、ハイポインターが車いすの片輪を上げて高さを出す「ティルティング」という技がある。ゴール下の激しい攻防戦の中、ティルティングでシュートをねじ込むシーンは車いすバスケならではの見どころの一つだ。
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