Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア
2020年2月16日

2020国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会

日本代表、大きな収穫を手に“勝負する"から“勝つ"チームへ

今大会チーム最多42得点を挙げた北田千尋 | 日本代表、大きな収穫を手に“勝負する”から“勝つ”チームへ|2020国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

今大会チーム最多42得点を挙げた北田千尋


 2月14〜16日の3日間にわたって、「国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会」(丸善インテックアリーナ大阪)が行われた。今大会には日本のほか、世界選手権銀メダルのイギリス、同5位のカナダの3カ国が参加。総当たりで2試合ずつのリーグ戦が行われ、4戦全勝したカナダが1位、2勝2敗のイギリスが2位となり、日本は4敗で3位となった。

 「自分たちは今、世界の強豪と勝負できるクォーター、時間があることがわかりました。ただ、40分経った時に勝てるかどうか。そこの力がまだ不足しているということを痛感しました」

 最終戦を終えて北田千尋が語ったこの言葉が、今大会でチームが感じた“手応え"と“課題"との両面を表していた。

 確かに「4戦全敗」という結果は、チームに大きな課題を突き付けたかたちとなった。東京パラリンピックでメダル獲得を目指すチームにとって、未勝利という結果はやはり痛かった。

 だが、決してそれだけではなかった。東京パラリンピックに向けての過程としては、大きなステップアップとなる、内容ある4試合。チームが確実に成長し、着実に世界との差を縮めてきた、という大きな収穫を得ることができた大会となったはずだ。

 何より大きな手応えとして挙げられるのは、これまで課題とされてきたハーフコートに下がってのディフェンスだろう。イギリス、カナダのそれぞれのビッグマン相手に、日本のディフェンスは全4試合でしっかりと機能していた。
アグレシッブな守備でチームに貢献した北間優衣(左) | 日本代表、大きな収穫を手に“勝負する”から“勝つ”チームへ|2020国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

アグレシッブな守備でチームに貢献した北間優衣(左)

 
 なかでも特筆すべきは、ローポインター陣の守備力だ。持ち点1.0の北間優衣、1.5の萩野真世が、イギリスのエースで持ち点4.0のエイミー・コンロイ、そしてカナダのエースで持ち点4.5のアリン・ヤンとのミスマッチの状況下でも、相手の動きを止め、さらに少しでもリングから遠ざけようとアウトサイドに力強く押し上げていく守備は、相手によりタフな状況をつくり、シュートの確率を下げる効果を発揮していた。

 そのため、イギリスとの第1戦では、スタートからプレーし続けながら、コンロイは第1Qでは無得点に終わり、第2Qの終盤にようやく初得点を挙げている。また、カナダのヤンも、第2戦の前半はリングに嫌われ続けた。これに対し、キャプテンの藤井郁美も「相手がミスマッチを狙ってくるのは当然のことで、その時に少しでも確率を落とすためのトレーニングをしてきた。それを遂行してくれた結果だと思います」とチームメイトを称えた。

 そして、特に日本が確実に世界との差を縮めてきていると感じられたのが、相手が主力メンバーをそろえてきた中でも、崩れることなく、流れを引き渡さなかった点だ。

 たとえば、イギリスとの第1戦、第1Qを互角に渡り合った後の第2Q、イギリスは主力5人を投入してきた。なかなかリズムに乗り切れない中、主力で一気に試合の主導権をつかみたかったのだろう。しかし、中盤に逆転するなど、逆に流れをつかんだのは日本の方だった。

 また、カナダとの第2戦、主力を温存するカナダに対し、第1Qで日本がリードを奪うと、第2Qでカナダはいつものスタメン5人のラインナップを投入してきた。だが、日本は逆転を許すことなくリードを守り切った。藤井も「あの第2Qをリードしたまま終えられたのは、大きな収穫でした。相手は明らかに私たちのディフェンスを嫌がっていましたし、大きな手応えを感じました」と語っている。

 大会を通して感じられたのは、日本が今持っている実力は、十分に世界と勝負するところまできているということだ。

 しかし、一方で明確な課題も露呈した。シュート力だ。「敗因は、勝負どころでのシュートの差だったと思います」と岩佐義明HCが語る通り、シュートを入れなければ、勝つことはできない。それを痛感させられた3日間だったのではなかったか。

 もちろん40分間、常に好調をキープすることは難しい。今大会、イギリスもカナダも、試合の中で必ずと言っていいほど、リングに嫌われる時間帯があった。つまり、“流れ"や“勝機"は試合中に両者の間を何度も行き来する。一方で“我慢"の時間帯も必ず訪れるものだ。

 そうした中、“流れ"をつかむ時間帯をいかに長くキープすることができるか。“我慢"の時間帯をいかに最少失点で凌ぎ、割合を減らすことができるか。その先に、“勝敗"という結果が生まれる。

 日本はこれまで「守備からリズムをつくる」を最優先課題とし、磨き続けてきた。その守備力は世界にも十分に通用することは証明されたと言っていい。着実に成長してきた日本は今、次の段階に来ている。次なる最優先課題は、シュート力。それが“世界と勝負できる"チームから、“世界に勝つ"チームへとステップアップするためのカギとなる。

 「このチームはこんなものではない。まだまだ成長できる」
 そう力強く語った岩佐HC。シュート力向上という難題をどうクリアしていくのか。半年後の本番に向けた挑戦の日々が続く。

(文・斎藤 寿子、撮影・峯 瑞恵)

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