Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア
2020年1月13日

皇后杯 第30回記念日本女子車いすバスケットボール選手権大会

カクテル、SCRATCHを破り6連覇達成!

MVPを獲得した網本麻里 | カクテル、SCRATCHを破り6連覇達成!|皇后杯 第30回記念日本女子車いすバスケットボール選手権大会 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

MVPを獲得した網本麻里

1月12、13日の2日間にわたって、「皇后杯 第30回記念日本女子車いすバスケットボール選手権大会」(神戸市中央体育館)が行われた。“女子車いすバスケットボール日本一決定戦"の今大会には全国から8チームが参加し、その頂点に立ったのはカクテル(近畿ブロック)。3大会連続の同一カードとなったSCRATCH(東北ブロック)との決勝では70−51で勝利を挙げ、10 度目の栄冠に輝いた。

メンバーが揃った今大会のカクテルは、他を寄せ付けない強さを見せつけ、ナンバーワンの座についた。

大会初日に行われた1回戦でパッション(四国ブロック)を60–17、続く準決勝ではWing(関東ブロック)を77–33と、攻守ともに圧倒的な力で相手をねじ伏せ、決勝進出を果たしたカクテル。キャプテンの北田千尋は「相手がどうこうではなく、まずは自分たちのバスケをすること」と、決勝に向けて意気込みを見せていた。

その決勝の相手は、前回大会で勝利を挙げたものの、わずか4点という僅差で逃げ切ったSCRATCH。女子日本代表のキャプテン藤井郁美をはじめ、4人の代表候補が所属するSCRATCHは、カクテルにとって最大のライバルと言っていい。

だが、カクテルの岩野博HCによれば、チームには前回大会とは違う落ち着きがあったという。その理由は、網本麻里の復帰にほかならない。長きにわたって日本のエースとして活躍し、チームでも随一の得点力を誇る網本。しかし、昨シーズンはスペインのチームに所属していたために前回大会は欠場を余儀なくされた。

その網本が、今シーズンはチームに復帰。全員が揃った状態で大会に臨めていたことが、チームに落ち着きをもたらしていた。そして、それは自信にもつながっていたはずだ。

13日、14時45分にティップオフとなった決勝戦。第1Q、カクテルの切り替えの速いオールコートでのプレスディフェンスに、SCRATCHは苦戦を強いられながら、それでも食らいついた。18–14とカクテルのリードは、わずか4点。試合の行方は、まだまったくわからなかった。

しかし続く第2Q、カクテルのプレスディフェンスがますますさえ渡り、SCRATCHのパスコースを潰していく。SCRATCHが用意していたという2種類のブレイクの方法は、カクテルの勢いにかき消されていった。カクテルが次々と得点を重ねていく一方で、SCRATCHに重ねられていったのはミスだった。16得点を挙げたカクテルに対し、SCRATCHは5得点。スコアは34–19と大きく開き、これが最後まで響くことになった。

後半に入り、SCRATCHも粘りを見せた。前半はハイポインターを活かすプレーの多かったローポインターの大森亜紀子と財満いずみが、自ら積極的にカクテルのプレスを打開しにいくことでブレイクに成功するシーンが増え、2人も貴重な得点源となった。ただ、ハイポインターの藤井郁や土田真由美が本来得意としているアウトサイドからのシュートで攻める形が作ることができず、狭いインサイドでのタフショットを余儀なくされたことで、流れを引き寄せられなかった。

それでも、SCRATCHは最後まで戦う姿勢を見せた。4Qの終盤、メンバーを代えた相手に対し、5本連続でシュートを決め、一矢報いた。しかし、2Qで開いた差をうめることは最後までできなかった。終始試合の主導権を握り続けたカクテルが、70–51で勝利。大会史上2チーム目となる6連覇を達成した。

この日、最も躍動したのが網本だった。前日、2大会ぶりの出場について聞くと「みんなと試合をするのが楽しくて仕方ない」と語っていた網本。その言葉通り、決勝でもかたさは見られず、肩の力が抜けたしなやかなフォームから次々とシュートを決めていった。決勝で最多の29得点を叩き出した網本はMVPに輝いた。

攻守にわたり献身的なプレーを魅せた北間優衣 | カクテル、SCRATCHを破り6連覇達成!|皇后杯 第30回記念日本女子車いすバスケットボール選手権大会 | Glitters 障害者スポーツ専門ニュースメディア

攻守にわたり献身的なプレーを魅せた北間優衣

そして、バイプレーヤーとしてチームに大きく貢献したのは、吉田絵里架と北間優衣のローポインターの2人だ。ベンチには持ち点1点台が不在というチームの台所事情があり、決勝でも2人は40分間フル出場した。それでも疲れを見せることなく最後まで走り続け、SCRATCHのハイポインター陣をも封じる守備力を発揮。カクテルの強さは、実はローポインターである2人の存在が非常に大きい。それが示された試合でもあった。

今大会で6連覇を達成したカクテルは、次は前人未到の7連覇という大記録に挑むことになる。その意義について、岩野HCはこう語る。

「今大会はベンチに入っていませんが、新しくチームに加入した小学生と中学生がいるんです。彼女らが『車いすバスケを続けたい』と思ってもらえるように、そして彼女たちも皇后杯の決勝という舞台に上がれるように、これからも強いチームであり続けたいと思っています」

令和という新時代の初代チャンピオンとなったカクテル。彼女らが強さを求めれば求めるほど、その牙城を崩そうとするライバルたちのレベルも引き上げられていくはずだ。女子車いすバスケ界のけん引役は、果たしてどこまで連覇の記録を伸ばすことができるのか。今後も目が離せそうにない。

(文・斎藤 寿子、撮影・竹内圭)

【総合成績】
1位 カクテル
2位 SCRATCH
3位 Brilliant Cats
4位 Wing
5位 ELFIN
6位 GRACE
7位 九州ドルフイン、パッション

【MVP】
網本麻里(カクテル)

【ベスト5】
萩野真世(SCRATCH)
柳本あまね(カクテル)
清水千浪(カクテル)
古野祥子(Brilliant Cats)
網本麻里(カクテル)

【3P賞】
柳本あまね(カクテル)
椎名香菜子(Wing)
小田島理恵(GRACE)

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