2019年12月5日

2019アジアオセアニアチャンピオンシップス
男子日本代表、攻守にわたって圧倒し準決勝進出

ゴール下で体を張り、タフショットを決める村上直広

　
12月5日、2019アジアオセアニアチャンピオンシップス（タイ・パタヤ）では、男子の準々決勝が行われ、日本代表はサウジアラビアと対戦した。終始試合の主導権を握った日本は、78－21と大差をつけて勝利を挙げ、準決勝進出を決めた。

「やることはいつもと同じ。ディフェンスから入り、その強いディフェンスを40分間やり続けることを徹底した。点差に関係なく、自分たちのバスケットをやり続けることが重要だと考えていました」と及川晋平HC。

それは、次のステージを見据えた“準備"を意味していた――。

この日、サウジアラビアに対して、日本はそれまで以上にディフェンスのラインを高い位置に上げた。第1Qの序盤こそ、立て続けに相手に得点を許したものの、中盤以降は連携を強め、サウジアラビアの攻撃を封じた。

3Pラインから一歩も二歩も前に張り出した日本の強固なディフェンスに、サウジアラビアは為す術がなかった。ペイントエリアどころか、3Pラインの中にさえも入ることに苦戦を強いられ、唯一日本を上回る“高さ"を活かした攻撃ができなかった。

サウジアラビアは手も足も出ない状況の中、何度も24秒バイオレーションを取られ、そして仕方なく3Pラインの外側から放たれたシュートは空を切ったままリングに届かない……。そんなシーンが何度も繰り返された。

第2Qを終えて、42－16と日本はダブルスコア以上の大差をつけていた。しかし、後半も手を緩めることはなかった。どのラインナップが出ても、ディフェンスへの強い姿勢はまったく変わることはなく、そして新たに強みとなったリバウンドへの意識を失うことはなかった。

点差が開いていく中、日本のディフェンスは、より強固なものになっていった。第1Qこそ10点を奪われたものの、第2Q以降は、6点、3点、2点とすべて１ケタ台に抑えて見せた。

結果は、78－21。香西宏昭がチーム最多の22得点を叩き出し、14得点の村上直広が続いた。さらにリバウンド数は、サウジアラビアの23に対し、日本は45を誇った。

格下相手にも決して気持ちもパフォーマンスも緩むことはなかった。狙い通り、40分間、やるべきことをやり続けた選手たちに、指揮官は次の準決勝への手応えを感じていたはずだ。

その準決勝の相手は、予選リーグで唯一黒星を喫した韓国。因縁のライバルとの決戦を前に、及川HCはこう語った。

「とにかく次の韓国戦に勝つことが大事。その準備がしっかりとできた、いい試合をしてくれたと思います。特にディフェンスへの意識を確認しながらやれたというのは良かった」

そして、こう続けた。

「韓国戦に勝つ意味は大きい。絶対に勝って、日本のプライドを示したいと思っています」

2014年、日本は世界選手権、アジアパラ競技大会で計3度対戦し、3連敗を喫した苦い経験がある。だが、その時の日本とは、スキルの高さ、連携の強さ、層の厚さはまったく違う。

なかでも選手層においては、及川HCが「圧倒的な差で今大会随一」と絶対的な自信を持つ。実際、今大会はここまで全6試合で“全員出場"が続いている。スターティングメンバーさえも固定されず、“主力"と呼べるラインナップは一つや二つではない。そんなチームは他に類を見ない。日本は、12人全員が主力級の戦力となっているのだ。

準決勝では、その強みを最大限に活かし、因縁のライバルとの試合を制することが使命となる。及川ジャパンのプライドをかけた一戦が始まる――。

（文・斎藤寿子、撮影・峯瑞恵）